◎尾川 泰将

 Wednesday尾川です。
 先週の記事の末尾に、
「背模様を見てマサバかゴマサバか判別できる人はいますか?」と問いかけました。
 その答えは、
「背模様だけでは判別不可能です」が正解。引っかけ問題でごめんなさい。

 それでは第二問。以下2個体のサバの種類は?

 

 答えは上がマサバで、下もマサバです。
・上は数年前のこの時期、東京湾で釣れたマサバ。金色に輝き、最高に太っている極上の個体。
・下は相模湾のカツオ釣りで交じったマサバで、ちょっと細身。
 海域や季節によって、こんなに個体差が生じるんですよ。顔つきもずいぶん違って見えます。

 続けて第三問。以下3画像はマサバとゴマサバの胴体のアップです。二種のどちらか判別してください。

 

 答えは、
上=マサバ。腹部にまったく斑点なし。
中=ゴマサバ。腹部に明瞭な斑点がある。名の由来となる「ゴマ模様」が見事に浮き出ています。
下=マサバ。腹部にうっすらとゴマ模様が浮き出ているからゴマサバでしょ? と思っても仕方がない、漁師さんも騙されるという曖昧な個体です。

 つまり腹部のゴマ模様はかなりのクセモノ。模様がないのでマサバと思って持ち帰っても、帰宅してクーラーから取り出したらゴマ模様が浮き出て首を傾げることもよくありますよね?
 出たり消えたり明滅するこの模様、明確に出ていればゴマサバと判断できますが「うっすらとしたものは判別の決定打にならない」ということです。

 マサバとゴマサバは市場取引価格で雲泥の差がつきます。
 そこで平成11年、中央水産研究所がほぼ確実な判別法を発見し、発表しました。
「第1背ビレの第1~9棘の基底長 ÷ 尾叉長(口の先から尾ビレ湾入部の中央まで)」という計算式です。

 その数値が、
●0.12以上、つまり12%以上ならマサバ。
●0.12未満、つまり12%未満ならゴマサバ。

 
 判別に困るサバが釣れたら、メジャーをあててスマホの計算機でピポパと計算してみましょう。


 計算式によるマサバとゴマの判別精度は、なんと99%とのことです。