遊漁船での喫煙・分煙・禁煙について、皆さんの意見を募集します。

 

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よりご投稿ください。

 

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お寄せいただいたご意見の中から抜粋し、後日、『隔週刊つり情報』誌面および『つり情報モバイル』にて、掲載・使用させていただく予定です。

 

 

◎沖藤武彦 

 

遊漁船での喫煙についてはしばしば話題になり、ウエブサイトやSNSでの書込みを目にします。

 

ウエブサイトの中には非喫煙者、喫煙者、遊漁船それぞれの立場に鑑みて書かれたバランス感覚のよい記事もあり、とても考えさせられるところがあります。

 

とくに俎上にのることが増えたのは、昨年4月より健康増進法が改正され、自治体や各施設が、受動喫煙をなくすべく取り組むことがルール化されたこともあると思われます。

 

ではなぜ今、遊漁船での喫煙・分煙・禁煙について、私が皆さんの意見を聞きたい(読みたい)と思ったか。

 

理由はとてもシンプルです。

 

改正健康増進法が施行されて1年半以上がたつ現在、多くの釣り船で煙・灰・ときに火の粉が飛んでくる状況は、果たして正常なのか?

 

とギモンに思っているためです。

 

「そんなのおかしいに決まってる」と、非・喫煙者は思うでしょう。

 

「遊漁船も禁煙、または、分煙にするべきだ」と。

 

実際、改正健康増進法では

 

①「望まない受動喫煙をなくす」

 

 

②受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮

 

 

③施設の類型・場所ごとに対策を実施

 

の3つが基本的な考え方として提示され、今後は「マナー」ではなく「ルール」になると明記しています。(厚生労働省)

 

でも、視点を変えて喫煙者の立場から見れば

 

「喫煙が禁止されていないのだから周囲に配慮しつつ喫煙することは許容してほしい」

 

と思うでしょう。これはまっとうな感覚です。

 

ちなみに、前記の③にて、遊漁船は交通機関ではないため、対策を実施するべき施設にあたらないと言われています(この点については遊漁船を管轄する水産庁に確認していないので明確な見解ではないことをご了承ください)。

 

こうなると、困るのは遊漁船業者です。

 

非・喫煙者は「分煙・禁煙にするべきだ」

 

喫煙者は「禁止されていないのだから周囲に配慮して吸わせてほしい」

 

板挟みの船長としては

 

「義務やルールであればまだしも、そうではないのだから規制は難しい」

 

となりますし、なにより、

 

「喫煙者も非喫煙者も大切なお客さん」

 

ですから、カッチリと線を引くことに難しさがあることも想像できます。

 

また、船長自身が喫煙している場合は(操舵室で分煙していれば問題ないと分かっていても)、自ら「言いにくい」場合もあると思います。

 

その結果

 

「タバコを吸うときは風下に気を付けてください」

 

「喫煙は周囲に配慮してください」

 

といった、マナー啓蒙アナウンスで対応している所がほとんど、なのが実情です。

 

で。

 

これで皆さんが快適なら、ネットやSNSで喫煙問題が取り上げられることはありません。

 

ここでカギとなるのが、お互いの認識。

 

喫煙者の86%が「自分は喫煙マナーに気を遣っている」

 

と思っていても

 

吸わない人の72%が「喫煙者はマナーに気を遣っていない」

 

と感じているというアンケート結果(新宿区)があるように、

 

喫煙している間は非・喫煙者の立場を理解するのが困難なのです。

 

これ、どんなにマナーのいい人でも、どこかで「やっちゃって」います。

 

煙や灰といった物理的な問題もさることながら、この心理面での乖離、すれ違いが根底にあるから、喫煙問題はときにヒステリックになると思うのです。

 

ですから、改正健康増進法では「マナー(行儀・作法)」ではなく「ルール(規則)」にしていくぞ、と言っているわけですね、きっと。

 

話を遊漁船に戻します。

 

これが飲食店や公共施設など、法律や条令、いわば外圧に対応するかたちで変化するのならまだしも、自発的に分煙・禁煙などを決定するのは「経営」としてのメリット・デメリットが無縁ではありません。

 

男性で27.1%、女性で7.6%の喫煙習慣者(2019年・厚労省)とすれば、70%ほどが非・喫煙者。

 

「分煙」「禁煙」を導入することは、新たな顧客獲得の可能性(成功している例もあります)もあれば、同時に、旧来の顧客離れにつながるおそれもありますし、感情的な衝突があるかもしれません。

 

 

そこで、私個人としては、

 

 

遊漁船における分煙、または禁煙について、管轄省庁が明文化し、指示するのもひとつの形ではないかと考えます。

 

 

空港や駅での分煙は、皆、守っています。

 

禁煙になった飲食店で、タクシーで、旅客船のデッキで、タバコを吸わせろと文句を言う人は、今はまずいないと思います。

 

これらはほとんど、経営者が自発的に分煙・禁煙したのではなく、条例・ルールに従う形で実行されてきました。

 

それを、遊漁船は自発的にするべきで、しないと時代遅れ、みたいに言われるのはちょっとしんどいな……と思ったりもするのです。

 

ライフジャケットの義務化でも、クロマグロの漁獲枠でも浮き彫りになりましたが、行政の中で、遊漁船業の立場は今ひとつ曖昧です。

 

非・喫煙者、喫煙者、遊漁船業者。

 

3者の意識と意見が微妙にすれ違っている現状は、社会がスタンダードとして変えてきているルールから、遊漁船がぽっかりと取り残されていることに起因しているのではないか、と思うのです。