◎尾川 泰将

 

 2017年8月から続く黒潮大蛇行。

 実はこの3月で通算4年8カ月を迎え、過去最長だった1975年8月~1980年3月の記録に肩を並べました。

 つまり今年4月まで継続すれば最長記録更新となります。

 

Wednesday尾川です。

 

 皆さんも痛感しているでしょう。この間、おそらく「温暖化」+この「黒潮大蛇行」の影響によって、関東周辺の海で奇妙な現象が起きていることを。

・黒潮系の暖水が四季を通して沿岸に波及し、潮流もめちゃくちゃ。

・藻場が喪失する「磯焼け」の拡大。

・南方から西方に多いはずの魚種が増加。アカハタ、オオモンハタ、アオハタ、オオニベ、シマアジ、アカヤガラ、メイチダイ、シロアマダイ……ほか色いろ。

・ヤリイカ釣り場の北偏化。駿河湾や相模湾西部で不漁が続き、千葉以北で豊漁。

・アカムツ、タチウオ、トラフグなどが、北方で勢力拡大(例えば福島県ではトラフグの水揚げが増大、ブランド化して出荷するまでになっている)

 

 頭に浮かんだだけでも、これだけあります。
 
 その原因の一つと思われる黒潮大蛇行は、いつ終わるのか?

 

 

↑水産研究所「関東・東海海況速報」より

 

 左は今年1月19日の黒潮流路。紀伊半島の沖合で大きく蛇行しています。

 そして右は最近、2月28日の黒潮流路。

 おや? ずいぶん蛇行が緩やかになっていますね……。
 ひょっとして、そろそろ終わる?

 

 こんなときは、水深400メートルの水温分布図を見てみましょう。

 

 

↑気象庁HPより

 
 紀伊半島沖の冷水塊(緑色のエリア)に注目。

 左は1月19日で、縦長。
 一方、右の2月28日は、横長。

 

 形状は変わっているものの、広大な冷水塊はしっかり居すわっています。

 

 黒潮は深さ1km×幅100kmという規模の「海の中の大河」。
 その流れの中に冷水塊があると、その障壁を大きく迂回する形となって黒潮大蛇行が生じます。

 この巨大な冷水塊があるかぎり、まだまだ黒潮大蛇行は続く……と予想しますが、はたして結果やいかに? 

 

 最長記録更新後も大蛇行が継続するならば、関東沿岸でさらなる新顔の魚が出現するはず。

 悪影響もあるでしょうが、釣り人にとって「変わった魚との出会い」は楽しみの一つ。さらに環境変化にともなう「生物相の異変」を知る大切なデータにもなります。

 珍魚が釣れたらぜひご報告ください。