キントキ1

南房名物・キントキ五目がシーズンを迎えて調子を上げている。 この釣り物を得意とする乙浜港のしまや丸では、白浜〜布良沖の水深70〜80メートル付近を狙い、30〜38センチ級主体にトップ40尾以上の釣果。交じるゲストも魅力で、カサゴやマハタ、アカハタなどの根魚を始め、アカイサキやホウボウほかとても多彩だ。例年10月ごろまで楽しめるこのキントキ五目、根魚ファンや五目釣りが好きな方にもおすすめだ。

 

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※料金等データは2021年5月のものです。

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サバをかわせば入れ食い!?激熱!!南房のキントキ五目

キントキ2

標準和名チカメキントキ、通称キントキは、一見するとキンメダイに似た風貌をしているが、大きな胸ビレを有している特徴から見分けることができる。 釣り上げると胸ビレを広げて、まるで歌舞伎十八番の一つ「景かげ清きよ」が派手に見栄を切っている姿に似ていることから、通称カゲキヨとも呼ばれている。 キントキは市場の入荷量が少ないことから、あまり鮮魚コーナーで見かけないものの、食味はトップクラスとあって高値で取引されている。 魚屋で買えないなら釣るしかないと5月15日、釣友の米光さんとキントキ五目を得意とする南房乙浜港のしまや丸に足を運んだ。

 事前に宿に連絡をしたところ、オモリは120号を使うが80号も用意してほしいとのこと。理由を伺うと、キントキのポイントである布良沖や白浜沖は南西風が吹いたり、潮が速くなると釣りにならなくなる場合もあるので、そんなときは乙浜沖や千倉沖の浅場に回って80号のオモリでアカハタやカサゴなどの根魚を釣るとのこと。 それを聞いて、せっかく来てくれたお客さんを手ぶらでは帰せないという船長の心意気を感じた。 また、エサは冷凍のカタクチイワシを用意してあるが、サバやイカの切り身があれば持ってきてほしいとのこと。 イワシエサはアピール度抜群だが、エサ持ちが悪いので、食いが立っているときは外れにくいサバやイカのほうが手返しがいいからだろう。

3本バリが効果的

 5時になって支度が整ったところで12名を乗せて出船。ポイントの布良沖に50分ほどで到着すると、「水深は80メートル。底から10メートルまでがタナです。う〜ん、サバの反応もあるけどやってみてください」とのアナウンスで開始となった。 すると底に着く前にサバにつかまってしまったらしく、あちらこちらでバタバタとサバが上がる。そんな中、右胴の間の大本さんがサバと30センチ級のキントキを取り込む。 慌てて写真を撮っていると、隣の山本さんが3本バリ仕掛けにパーフェクトでキントキを上げる。 これには釣った本人が一番驚いたようだ。ビギナーの彼は仕掛けを竿先の手前まで巻き上げてしまい、鯉のぼり状態になったキントキをどうしてよいやらオロオロ。それに気づいた船長が、サッと駆け付け素早く取り込んだ。

 続けて右ミヨシ2番の太田さん、右トモの川崎さん、そして右ミヨシの二戸さんと連続してキントキを釣り上げると、右ミヨシ3番の佐々木さんがダブルで上げる。 いずれも30〜35センチとまずまずサイズで、海面から45〜60メートル付近のサバの層を仕掛けが通過すれば高確率でキントキが食ってくる。 こうなるとハリ数を5〜6本に増やして多点掛けを狙いたいところだが、サバの気配があるうちは3本バリでできるだけトラブルを軽減して釣っている人が大半だ。 左舷に回ってみると、釣友の米光さんがオケにキントキ2尾を泳がせていたのだが、「ヒットしても巻き上げ途中でバレちゃうんですよねぇ」と渋い顔。

 この日は二枚潮で、しっかり底ダチを取っても糸フケが出ているのかもしれない。そのため合わせが効かず、キントキの硬い口周りにしっかりハリが刺さらず、巻き上げ途中のバラシにつながっているのだろう。 そのことをアドバイスすると、今度はしっかりと合わせも決まってダブルでキントキを釣り上げガッツポーズ。

追い食い狙い成功

 その後も食いは衰えず、右ミヨシ2番の太田さんが4点掛けで取り込む。「5本バリだとトラブルが怖いし、3本バリだと物足りない。だから4本バリ仕掛けにしました」とうれしそう。 相変わらずサバがうるさかったが、キントキも順調に釣れたおかげで写真撮りも早めに済み、7時半から私も竿を出す。

1投目はサバにつかまったが、気を取り直して再投入すると今度は無事着底。竿を上下して誘いを入れ、オモリを底に着けてゼロテンで待つ。するとコツコツッ、ググッと引き込んだところで竿を大きく立てると派手にたたかれた。 道糸を巻き取りながら竿先を下げて追い食いを狙う。キントキが暴れると仕掛けが踊ってほどよい誘いとなる。グッ、ググッと重量感が増したところで巻き上げを開始すると、ギュギュンと竿がしなり電動リールが悲鳴を上げる。 海面に朱色の魚体が3つ浮かびパーフェクト達成。 その後も2度のパーフェクトを含めて16 尾を釣ったところで、「白浜沖に移動します。根があるのでハタやカサゴも出るし、大型のキントキが上がりますよ」とのアナウンス。 そこで私は根魚を狙うために、捨て糸を80センチから40センチに詰め、下バリにイワセンチに詰め、下バリにイワシエサを付ける。 白浜沖の水深75メートルに到着。ここはサバがいなくて釣りやすく、キントキは単発が多いものの35〜38センチとサイズアップしたので釣り応えがある。 根魚は左トモ氏が35センチ級のマハタを釣り上げ、アカイサキが船内数尾上がったところで10時45分の沖揚がりを迎えた。 私の釣果はキントキ25尾。トップは堀籠さんで39尾、平均は20尾前後だろう。 今シーズンのキントキは、いい日でトップ40〜50尾前後と勢いがある。大きめのクーラーを持参して出かけていただきたい。

しまや丸

キントキ3

10470・38・2567(詳細は巻末の情報欄参照)▼料金=キントキ五目乗合一人 1万1000 円(エサ、氷付き)▼備考=予約乗合。5時出船。ほかスルメイカ、イサ キへも出船

 

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