グラマラスな居着きを求めて浦賀出船のビシアジ絶好調

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抜群の安定度で釣り人の期待に応えてくれる東京湾のアジ。 2月下旬に取材した三浦半島浦賀港の前田丸はオモリ120〜130号を使うビシアジスタイルで、浦賀〜大津沖の浅場から深場を状況で攻め分ける。釣れるのは30〜35センチ級のグラマラスな居着きのアジで、良日はトップ60〜70尾前後という好模様。 濁った春潮が湾内に差し込む3〜4月は一層アジの食いが立つベストシーズン。穏やかな春の陽気のもと、心地よいアジの引きを楽しもう。

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そうだ、東京湾のうまいアジを食べたくなったら浦賀へ行こう

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刺身、たたき、アジフライ。周期的に襲ってくる、東京湾のうまいアジを食べたいという欲求のスパンが短くなってきたころ、ちょうど編集部からアジ取材の指令があった。取材日は2月下旬、14名を乗せた第二十五前田丸は7時13分に浦賀港から出船した。 右ミヨシ2番に座る私がこの日ツイていたのは、右ミヨシにミスターX氏が座ったことだ。ワケあって顔出しNGなのだが、X氏は毎週前田丸に乗り、乗れば必ず竿頭になるというアジ釣り名人だ。 7時37分に観音崎沖で船をスローダウンさせた前田悦男船長は、魚探を凝視しながら船をゆっくりと旋回させる。そして15分後、船を停止させた船長はマイクを手に取り開始をアナウンスした。「はい、いいですよ。水深は53メートル。下から3メートルでやってみてください」 ここは連日30〜40センチの良型アジが数釣れているポイントだ。空気が冷たく、薄い雲が日差しを遮る。やや肌寒さを感じるが、船上は活気がみなぎっていた。

 しかしどうしたことか、ここではアタリが出ない。船長は早々にこのポイントをいったん見切り、大津沖へと船を移動させた。8時20分に再開。猿島の西側には20隻ほどのタチウオ船団が見える。 しばらくすると右胴の間の井上さんが電動リールの巻き上げ音を響かせ25センチのアジを釣り上げた。 これを合図に左ミヨシ2番の関野さんがアジとサバのダブル。すでに一荷でアジを二度釣っている左胴の間の鈴木さんが、5尾目のアジを抜き上げる。左ミヨシの中原さんも一荷を披露。 井上さんの2尾目のあと、右胴の間の垂たる石いしさんが30センチの良型を手にして歓声を上げた。 これは期待どおりとほくそ笑んだが、この好スタートも後が続かない。「今日は干潮が8時50分。そろそろ潮止まりですね」と船長が残念そうにつぶやくと、それを裏付けるように左胴の間の小林さんがカサゴを釣り上げた。潮が流れないために、仕掛けが底を漂ったのだろう。

アタリを出させる技

 船内ポツリポツリとアジが釣れるような状態が続く。そんな中、コンスタントにアジのアタリを出し続けているのがX氏だ。「今日は軽く合わせてやらないとハリ掛かりしないですね」と言うX氏だが、いやいやこの状況でアタリを出し続けることがすごい。そこでX氏の釣り方を隣で見学させてもらうことにした。 X氏はビシが着底したあと糸フケを取り、1メートルリールを巻いたところでクイッ、クイッと竿先を揺らす。竿先の振り幅は10センチくらいだろうか。ろうか。 そして1〜2秒止めたのち、また1メートル巻き上げてクイッ、クイッとコマセを振り、また1〜2秒待つ。そのあと50センチほどゆっくりと巻き上げると、コツン! アタリだ。「コマセをあまりまかないんですね」と話しかけると、釣れたアジを取り込みながら、「まいてますよ。これで十分コマセはまけてるんです」とX氏は言う。

 ビシアジ釣りの仕掛けは短いので、ビシを暴れさせてしまうとアジが怖がってまいたコマセに寄ってこない。なので、ビシの動きを最小限にとどめてコマセを振り出し、アジを怖がらせないことを優先しているのだ。「このコマセをまく動作が誘いにもなってるんですよ。だからコマセをまいているときにアタリが出ることが多いわけです。コマセをまいている最中はアタリが出ていないかを注意して見ていることが大事です」 なるほど。それでコマセをまいたあとに1〜2秒の待ちきなり4メートルまで巻き上げて見せてくれた。すると、コツン!「ほらね」 すんげえ〜っ! もう、開いた口がふさがらなかった。

観音崎沖にて爆釣

その後、船長は観音崎沖へと船を戻す。再開のアナウンスの直後、私が下ろした3本バリ仕掛けに30センチオーバーのアジがパーフェクトで釣れてきた。 そしてここから良型アジの爆釣劇が始まる。だれもが1投1尾以上のアジが釣れてくる。ダブルやトリプルももはや珍しくないという状況だ。 まさに入れ食い。しかも、そのほとんどが30センチ級の良型だからたま良型だからたまらない。X氏が、「これデカいですよ」とタモごと私に見せてくれたアジを計ってみると40センチあった。 感無量。至福の時間はあっという間に過ぎていった。 14時半の沖揚がり時間を迎え、88尾を釣った鈴木さんがX氏の近くに足を運ぶ。「いくつ?」と問いかけると、X氏は「95でした」と答える。これがこの日の竿頭と次頭の納竿直後の会話だ。 スソは初めてアジ釣りにチャレンジした方で、20尾ジャスト。スト。23〜40センチのアジが入ったクーラーボックスのふたを閉めて、うれしそうな笑顔を見せた。「いい群れが見つかれば、これくらいは釣れますよ」と平然と語った船長。 東京湾のうまいアジが食べたくなったら、浦賀へ行こう。


三浦半島浦賀港 前田丸

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1090・5820・0178(詳細は巻末の情報欄参照)▼料金=アジ乗合一人8700 円 (アカタン、氷付き)、アオイソメ1パック250 円▼備考=予約乗合。7時15 分出船。無料駐車場あり

 

 

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